報道写真家・石川文洋さんの講演会を開催します。


報道写真家・石川文洋講演会

「基地で平和はつくれない」〜わが故郷沖縄と米軍基地〜

日時:2019年11月17日 13:00〜15:00
会場:生涯学習センターこぶちさわホール
参加費用:499円(高校生以下 無料)

報道写真家の石川文洋さんの活動はベトナム戦争から始まります。
もともとは取材ではなく、ただ日本を脱出したくて世界無銭旅行に出ようと思い、香港へ飛んだのだそうです。
そこでたまたま報道スタジオに拾われ、ベトナムへ撮影に行くことになりました。
ベトナムでは南ベトナム政府軍や米軍に従軍。
基地では兵士たちと生活を共にし、「素顔」の兵士たちに接しました。
また、最前線にも従軍し、地面に穴を掘った上に自分のテントを立てその中で寝泊まりしていたそうです。もし「敵」からの攻撃があっても自分の身を守れるようにとの工夫だったと言いますが、その話だけでもどれだけ過酷で危険な取材だったかがわかります。

さらに銃弾の下を兵士たちとともに行動しながら様々な戦争の現実を記録し続けました。
世界無銭旅行を計画していた青年は、気がついてみれば4年間もの間ベトナム戦争の最中を歩き続けていたのです。
ピューリッツァー賞を取ったカメラマン・沢田教一など、少なくない数の従軍カメラマンが亡くなったそうですが、石川さんは生き残り、日本に戻りました。

その後、朝日新聞のカメラマンとしてベトナムを再訪。
以前には入ることが叶わなかった北ベトナムを取材、そしてポルポト政権下で大虐殺が行われたカンボジアへも渡り、その惨劇を 目の当たりにします。
そのほかにも北朝鮮や韓国、中国、フィリピン、中南米、アフリカ、イエメンなども訪れています。中国で第二次大戦中に日本軍による虐殺があった現場を取材した時には、ベトナム戦争に従軍していた際の米軍による農村での虐殺など様々な殺人の状況を思い起こし、「このように人間を殺させるものはいったい何か」と問いかけます。

また、日本国内では浅間山荘事件、安保闘争、三里塚闘争、公害、原発問題なども取材してます。
そして、石川さんがベトナム戦争従軍時代からいつも考えていたのは生まれ故郷である沖縄のことでした。
日本へ帰国後、沖縄へも足を運び、米軍のB52爆撃機の墜落事故後の大ゼネスト、沖縄返還直前の大規模デモ、米軍基地反対闘争、コザ暴動、そして沖縄戦を生き残った人たちを取材しています。
沖縄の、米軍基地があるが故の様々な苦しみや抵抗を目の当たりにしながら、同時にベトナム戦争で傷つき死んでいった人々のことを思い起こし、

「戦争に結びつく基地や軍隊に反対である」

と言い切ります。

全身で戦争を見つめ、記録してきた石川さんの言葉。
それは、戦争から遠く離れてしまっている今の日本の中で、圧倒的な存在感を放っています。

最近では、80歳になった昨年(2018年)から徒歩での日本縦断を決行。
その様子はテレビでも放送されたのでご覧になった方もいらっしゃるかと思います。
テレビの画面だけ見ていると「穏やかなおじいさん」という印象でしたので、初めて石川さんを知った方はベトナム戦争であれだけの取材をした人だとは想像できなかったかもしれません。
そして徒歩の旅のゴールは沖縄。
その際には、沖縄県民の民意を無視して米軍基地建設が強行されている辺野古にも足を運び、海上行動チームの抗議船に乗って新基地建設の現場を取材しています。

ひとりの人間の人生で、いったいこれだけのことが経験できるのかと驚きを覚えてしまうほどですが、講演会では「基地で平和はつくれない〜わが故郷沖縄と米軍基地」をテーマにお話しいただく予定です。
今の日本では稀有なジャーナリストの話を聞く絶好の機会です。
ぜひ多くの方に来ていただきたいと思います。

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